ウォーキングブリーチという選択肢
こんにちは! 本町医院 竹村歯科です。
神経を取った歯が黒ずんできたとき、被せ物をする前に検討できる「ウォーキングブリーチ」。
どんな治療なのか、向いている歯や注意点を分かりやすく解説します。
神経を取った前歯が、いつの間にか黒ずんできた。笑ったときにその歯だけ目立つ。そんな相談を受けることがあります。
歯の色を整える方法として、被せ物やラミネートベニアを思い浮かべる方も多いかもしれません。でも、歯を大きく削る前に検討できる方法があります。それが「ウォーキングブリーチ」です。どんな治療なのか、注意点も含めてお話しします。
ウォーキングブリーチは、神経を取った歯の内側から行う漂白です
ウォーキングブリーチは、根管治療を受けた歯の内側に薬剤を入れ、歯の色を明るくしていく方法です。一般的なホワイトニングが歯の外側から行うのに対し、こちらは歯の内側からアプローチします。
対象になるのは、主に神経を取ったあとに変色した歯です。神経を取った歯は、時間の経過とともに色が濃くなることがあります。転んで前歯をぶつけたあとに変色するケースもあります。
歯の表面を大きく削らずに色の改善を目指せるため、歯の形や厚みがある程度保たれている場合には、比較的負担の少ない選択肢になります。
治療前に、根の状態と変色の原因を確認します
「黒くなったから、すぐ漂白」というわけにはいきません。まず、根管治療が適切に行われているか、根の先に炎症がないか、歯にひびや大きなむし歯がないかを確認します。
根の治療に問題がある場合は、先に根管治療を見直す必要があります。歯の内側に残った材料が変色の原因になっていることもあります。原因や歯の状態によって、ウォーキングブリーチが適しているかどうかは変わります。
診査では、口の中の確認に加えて、必要に応じてレントゲン撮影を行います。治療できるかを判断するには、見えている歯の色だけでなく、歯の根や歯質の状態まで見ることが大切です。
薬剤を入れて仮のふたをし、色の変化を確認します
治療では、歯の裏側などから小さな入り口を作り、歯の内部に薬剤を置きます。その上を仮の材料でふさぎ、次の受診まで薬剤を作用させます。何度か薬剤を交換しながら、色の変化を確認していくのが基本的な流れです。
治療回数や期間は、変色の程度や原因によって異なります。1回で希望する色になるとは限りません。また、元の歯の色や隣の歯との関係によって、どこまで明るくするかも相談して決めます。
大切なのは、白さだけを追いかけないことです。周りの歯から浮いてしまうと、かえってその歯だけ目立つことがあります。治療前に写真や色見本を使い、仕上がりのイメージを共有しておくと安心です。
歯を削る治療と比べると、歯質を残しやすい方法です
歯の変色を隠す方法には、被せ物やラミネートベニアなどもあります。それぞれに向き不向きがあり、どれが一番よいかは歯の状態によって変わります。
| 方法 | 主な特徴 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| ウォーキングブリーチ | 歯の内側から漂白し、歯を削る量を抑えやすい | 変色の原因や歯の状態によって効果が異なる |
| ラミネートベニア | 歯の表面に薄い材料を貼り、色や形を整える | 歯の表面を削る場合がある |
| 被せ物 | 色だけでなく形も大きく整えられる | 歯を削る量が比較的多くなることがある |
歯の形が大きく崩れている場合や、詰め物・むし歯が広範囲にある場合は、漂白だけでは対応しにくいことがあります。その場合は、別の方法も含めて相談します。
ウォーキングブリーチが第一候補になるかどうかは、「歯をなるべく削りたくない」という希望だけで決めるものではありません。歯質の量、根の状態、変色の原因、噛み合わせなどを確認して判断します。
知っておきたい注意点は、色戻りと歯の根への影響です
ウォーキングブリーチには、歯の色が再び濃くなる可能性があります。時間の経過とともに色が変化したり、周囲の歯の色との違いが気になったりすることもあります。治療後も定期的に状態を確認していくことが大切です。
もう一つ、事前に知っておきたいのが、歯の根の首にあたる部分で起こる「外部吸収」です。頻度は高くありませんが、歯の根が外側から吸収される合併症として報告されています。特に、強い薬剤や熱を使う方法など、治療条件によってリスクが変わるため、薬剤を歯の外へ漏らさないための処置や、適切な手順が重要です。
ウォーキングブリーチと別の漂白方法を比較したランダム化臨床試験では、1年後まで色の変化を確認した研究があります。ただし、治療結果には個人差があり、研究結果がそのまま全ての方に当てはまるわけではありません。色がどの程度変わるか、どれくらい維持されるかは、歯の状態を踏まえて説明を受けてください。
よくある質問
神経が残っている歯にもできますか?
ウォーキングブリーチは、主に根管治療を受けた歯の内側から行う漂白です。神経が残っている歯の変色には、別の方法を検討します。まず変色の原因を調べる必要があります。
すぐに白くなりますか?
薬剤を入れて経過を見ながら進めるため、複数回の処置が必要になることがあります。治療期間や回数は、歯の状態や目標とする色によって異なります。
どんな歯でも受けられますか?
根の治療の状態、歯質の残り方、むし歯やひびの有無などによって適応は変わります。歯の状態によっては、漂白以外の方法をおすすめすることもあります。
歯を削る前に、まずは選択肢を相談しましょう
神経を取った歯が黒ずんでも、すぐに被せ物が必要とは限りません。歯の状態によっては、ウォーキングブリーチで歯を大きく削らずに色の改善を目指せる可能性があります。
一方で、適応の判断や治療後の経過観察は欠かせません。色の変化だけでなく、根の治療や歯質の状態も確認したうえで方法を選ぶことが大切です。
「前歯の色が気になる」「できるだけ歯を削りたくない」と感じている方は、まず歯科医院で現在の状態を確認してもらいましょう。ウォーキングブリーチが適しているか、ほかの方法がよいか、一緒に考えていくことができます。
【監修】院長 元島慧
○院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
○参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
2024年 General endo参加
2025年 FDP臨床研修会参加
2026年 小濵先生インプラントコース参加
所属学会・スタディグループ
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医
大森塾
CERI Club
General endo
FDP