歯の神経を守る治療「歯髄温存療法(VPT)」とは?
- 2026年4月20日
- 虫歯治療
こんにちは♪
本町医院 竹村歯科です!
最近よく質問を受けるので過去にも投稿はありますが再度このテーマについてお話しさせていただきます。
歯髄温存療法についてです。
「できるだけ歯の神経は残したいですよね?」
これは患者様とのカウンセリングでよく出てくる言葉です。実は最近の歯科治療では、神経(歯髄)をなるべく残すことが非常に重要と考えられています。その中心となるのが「歯髄温存療法(VPT:Vital Pulp Therapy)」です。
今回は、このVPTについて患者様にもわかりやすく、しっかり解説していきます。
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歯髄(しずい)って何?なぜ大切?
歯の中には「歯髄」と呼ばれる組織があり、いわゆる“神経”として知られています。
ただ単に「痛みを感じるだけの存在」ではありません。
歯髄には次のような役割があります。
・歯に栄養を届ける
・細菌に対する防御機能
・象牙質を作る(歯の再生能力)
・温度や刺激を感知する
つまり歯髄は、**歯を健康に保つための“生命線”**とも言える存在です。
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神経を取るとどうなるの?
虫歯が進行すると、従来は「神経を取る(根管治療)」が一般的でした。
しかし神経を失った歯には、次のようなリスクがあります。
・歯がもろくなり、割れやすくなる
・再感染(再び膿むリスク)がある
・長期的に抜歯になる可能性が上がる
つまり、**神経を取る=治ったではなく、“弱った歯になる”**とも言えるのです。
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歯髄温存療法(VPT)とは?
歯髄温存療法(VPT)とは、
虫歯が神経の近くまで進んでも、可能な限り神経を残す治療法です。
具体的には、
・神経が露出しても適切に保護する
・薬剤を使って歯髄の回復を促す
といった方法で、歯の自然な回復力を活かします。
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VPTの主な種類
① 間接覆髄法(かんせつふくずい)
神経ギリギリの虫歯をあえて少し残し、刺激を最小限にして保護する方法です。
「削りすぎない勇気」が大切な治療です。
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② 直接覆髄法(ちょくせつふくずい)
神経がわずかに露出した場合に、薬剤で直接保護する方法です。
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③ 部分断髄法(ぶぶんだんずい)
炎症がある神経の一部だけを取り除き、健康な部分を残す方法です。
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使用される材料がすごい
VPTの成功率を大きく変えたのが、新しい材料の登場です。
特に代表的なのが「MTAセメント」や「バイオセラミック材料」です。
これらは、
・細菌を抑える
・歯としっかり密着する
・神経の回復(再生)を促す
・長期間安定する
といった特徴があり、従来よりも高い成功率が期待できます。
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VPTができる条件とは?
すべてのケースでVPTができるわけではありません。
成功のためにはいくつかの条件があります。
・痛みが強すぎない(不可逆性の炎症でない)
・出血がコントロールできる
・細菌感染が強くない
・適切な診断と術式が行える
特に大切なのは「診断」です。
ここを見誤ると、逆に悪化するリスクがあります。
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成功率はどれくらい?
近年の研究では、
・適切なケース選択
・高品質な材料(MTAなど)
・精密な処置
これらが揃えば、成功率は80〜90%以上とも報告されています。
ただしこれは「適応症例」に限った話なので、
すべての虫歯で可能というわけではありません。
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VPTのメリット
・神経を残せる
・歯の寿命が延びる
・侵襲が少ない(体への負担が少ない)
・将来的なトラブルが減る可能性
特に「歯の寿命を伸ばす」という点は非常に大きなメリットです。
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デメリット・注意点
もちろん良いことばかりではありません。
・適応が限られる
・術後に痛みが出ることがある
・後から根管治療が必要になる可能性
・保険適用外になる場合がある
また、術後の経過観察もとても重要です。
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歯科医院選びも重要です
VPTは非常に繊細な治療です。
成功の鍵は、
・正確な診断
・無菌的な環境(ラバーダムなど)
・マイクロスコープによる精密治療
・適切な材料選択
といった要素に大きく左右されます。
つまり、どこで治療を受けるかが結果を大きく左右する治療です。
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まとめ:神経はできるだけ残す時代へ
これまでの歯科治療は「悪くなったら取る」が中心でした。
しかし現在は、
👉「できるだけ残す」
👉「歯の自然な力を活かす」
という考え方に大きくシフトしています。
歯髄温存療法(VPT)は、その代表的な治療です。
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最後に
「神経を取るしかない」と言われた歯でも、
もしかすると別の選択肢があるかもしれません。
もちろん無理に残すのが正解ではありませんが、
“残せる可能性があるかどうかを一度しっかり診断する”ことがとても大切です。
歯は一度削ったり神経を取ると元には戻りません。
だからこそ、慎重な選択が重要です。
気になる方はぜひ一度、歯科医院でご相談ください。
あなたの歯にとってベストな選択を、一緒に考えていきましょう。
【監修】院長 元島慧
○院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
○参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了 すさ
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医