新型タバコについて②|本町医院 竹村歯科|大阪本町の歯科クリニック

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本町医院 竹村歯科の医療コラム

新型タバコについて②|本町医院 竹村歯科|大阪本町の歯科クリニック

新型タバコについて②

⑤タバコ曝露の口腔微生物への影響

喫煙やタバコ成分が、口腔微生物や細菌叢を変化させて病原性を高めることが報告されており喫煙と歯科口腔疾患との関連を説明する生物学的な根拠の1つとなっています。

喫煙やタバコ成分による口腔数主物の変化
・歯周病
ニコチンやたばこ煙抽出物の霧が、初期定着菌の定着能の強化を介して、P gingialisのバイオフィルムの形成能を高め、健常歯肉でも、喫煙者の歯肉線下細菌は、非喫煙者と比べて病原菌の占有率が高いです。

・う蝕
ニコチンは、Smutansの増加や成長に関与し、バイオフィルムの形成や代謝を促進します。
また、う蝕病原性に関係する遺伝子発現を強め、乳酸の産生や酸の拡散を妨げるマトリックスを増強させます。

・インプラント周囲炎
喫煙者のインプラント周囲の細菌は、非喫煙者と比べてP.gingivalisなどの辺縁の喪失との関連性が強い高リスクの細菌の占有率が高いです。

・口腔がん
喫煙は口腔のヒトパピローマウイルス(HPV)感染を促し、感染期間を延長させ、HPVゲノムの増幅に関与して、口腔がんの発生リスクを上昇させる可能性があります。

・口腔カンジダ症
タバコ曝露は、Candidaの性質を変化させ、口腔粘膜上皮への付着能や、バイオフィルムの定着能を高めます。

⑥加熱式タバコの健康影響

加熱式タバコは紙巻きタバコに比べて,
ニコチン以外の有害化学物質の曝露量を減らせる可能性はありますが、有害化学物質の曝露に安全域はなく、
紙巻きタバコの研究から推測されるとおり、
曝露量の減少に見合っただけタバコ関連疾患のリスクが減少するかどうかは明らかではないです。
発がんリスクの推定モデルを用いた研究では、加熱式タバコ(1日15本使用)は57人/10万人(紙巻きタバコの約1/40)と算出されています。しかしこの結果は、明らかに有害な紙巻きタバコに比べて発がんリスクが低下する可能性が示されているだけで、一般に許容されるリスクレベル(1人/10万人~100万人)に比べると大きいです。
加熱式タバコは発売開始からまだ10年程度しか経っていないため、長期の健康影響についてはわかっていないが,新たな科学的知見が集積されつつあります。タバコ産業関連論文では、紙巻きタバコより加熱式タバコが望ましいと結論づける傾向があることに注意が必要です。

a.全身疾患への影響
呼吸器疾患については、ヒト呼吸器細胞への素糖やマウスでの傷害が確認されており、
実際国内において急性好酸球性肺炎の複数例の報告があります。
循環器系疾患については、動脈硬化につながる酸化ストレスの亢進や血管内皮細胞の障害が示されています。
がんについては、地域住民を対象とした研究において、DNAメチル化異常(遺伝子曜号が変化していないにもかかわらず遺伝子が使えなくなる異常)を介した関連が示されています。
インターネット調査研究によると、糖尿病などの優性患をもつ者では加熱式タバコの使用割合が高かっとの事です。

b.妊婦への影響

妊娠中の加熱式タバコの使用が、妊娠性高血圧症候群、低出生体重,在胎不当週小児,子どものアレルギーと関連したことが報告されています。

c.受動喫煙の影響

加熱式タバコのエアロゾルは呼気の勢いで約3m先まで到達します。
インターネット調査研究によると、
加熱式タバコのエアロゾルに曝露された人の約40%に何らかの自覚症状がみられ、
喘息発作と胸痛は紙巻きタバコよりその割合が高かったとの事です。
また、加熱式タバコを使用する父親の家族(非喫煙者)の尿中からニコチン代謝物が検出され、配偶者より子どもにおいてその濃度が高かった

d.歯・口腔への影響

当初はタバコ産業の研究が先行していたが、最では大学等の中立的研究機関からの報告もみられる。
現時点では基礎研究が中心で、人を対象とした疫学研究はほとんどみられません。
ヒトの歯肉・口腔粘膜の細胞やマウスの細胞を用いた研究においては、加熱式タバコの細胞毒性が報告されており、口腔がんの発症や口腔粘膜の角化異常,インプラント手術後の創傷治癒への影響が懸念されています。
加熱式タバコの使用は自己申告の歯周病との有意な関連が認められています。

タバコ会社により、歯周治療の効果を紙巻きタバコ継続群,加熱式タバコ切り替え群、併用群で比較する臨床研究が実施されたましたが、
3群の歯周ポケットの深さの改善に有意差はみられなかったようです。
歯や充填物の着色は紙巻きタバコより少ないことが報告されていますが、
エビデンスは限定的であり、多くがタバコ会社による研究です。
加熱式タバコ使用者が不健康な食生活を好む傾向には、味覚の変化が関与している可能性があります。

⑦電子タバコの健康影響

ニコチン入りの電子タバコについては、紙巻きタバコよりも有害性が低いという研究報告が多いが、ニコチン依存症のリスクは紙巻きタバコと同様にあります。
慢性疾患については、循環器系疾患、とくに心筋梗塞と関連があることが報告されています。

歯・口腔への影響については、E-リキッドの基材として含まれるグリセロールなどがバイオフィルムの形成を促進し、口腔の細胞に影響を与える可能性が示唆されています。
電子タバコに含まれる甘味フレーバーやニコチンは、S.mutansバイオフィルムの形成を促進し、う蝕リスクを高める可能性があります。

歯周病,口腔粘膜病変,インプラント周囲炎などとの関連が報告されているが、長期の追跡研究はほとんどありません。

⑧タバコハームリダクション

「タバコハームリダクション」は,タバコとニコチンの使用を完全に排除することなく、害を最小限に抑え、死亡と疾病を減少させることと定義され、日本ではタバコ産業の加熱式タバコのプロモーションでよく目にします。
加熱式タバコは疾患リスクの任意や禁煙効果の科学的根拠が十分ではなく、受動の影響なども懸念されます。
また、米国や英国では夕パコの規制権限が保健当局にあるが、日本では財務省にあることから、「タバコハームリダクション」を導入する要件は満たしていないようです。

周知の通りタバコの健康への影響は非常に大きいです。
出来るなら禁煙をお勧めします。
歯周病のケアも忘れずにして下さいね。

【監修】院長 元島慧 

○院長経歴

2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任

○参加セミナー
2016年  大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年  明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了 
2017年  i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年  大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年  山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年  山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年  大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年  牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年  ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年  ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年  第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年  大森塾7期 (総合治療)修了
2019年  大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年  山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年  CREDセミナー (保存治療)修了
2022年  臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年  日本顎咬合学会認定医取得

所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医