プラーク(歯垢)と歯周病|竹村歯科 本町本院|大阪本町の歯科クリニック

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医療コラム

プラーク(歯垢)と歯周病|竹村歯科 本町本院|大阪本町の歯科クリニック

プラーク(歯垢)と歯周病

こんにちは♪
竹村歯科本町医院です★
今回はプラークと歯周病の関連についてお話します。

歯周病の発症は、
プラーク(歯垢)の付着と関連しています。
歯周病原細菌の培養・同定技術が十分に
発達していなかったころは、
プラークを顕微鏡でのぞくとたくさんの細菌が観察されること、
また、プラークコントロールでその細菌が
除去されると歯周病の病態が改善していくことから、歯周病には特定の細菌のみが関係しているのではなく、
プラークを構成している細菌の量が増えることが原因だとする「非特異的プラーク仮説」が提唱されていました。

プラークの量が多いときは、
宿主の抵抗性を上回るような大量の病原物質がつくられるために歯周組織に障害が生じ、
プラークの量がわずかなときは、
毒素は宿主によって中和されてしまうため
歯周病の発症や進行はみられない、
という考え方です。

この根念は、現在でも歯周治療の基本的な概念として生きており、徹底したプラークコントロールによって治療を進めていこうとするのは、「非特異的プラーク仮説」に基づいた考え方ともいえます。

しかし、「非特異的プラーク仮説」では、

①大量にプラークや歯石が沈着しているにもかかわらず、歯周炎が進行していない者がいる

②歯周組織の破壊が著しい部分がある歯周病に罹患している者でも、他の部位ではまったく進行していないことがしばしば見られる(部位特異性)

といったことの説明がつきませんでした。

そこで、プラークがすべて同じように病原性をもつのではなく、
患者ごとにプラーク内の細菌の種類が違っていたり、
同じ患者でも疾患部位と健康部位でプラークの細菌構成に違いがあるのではないか、

という「特異的プラーク仮説」が生まれました。

この「特異的プラーク仮説」は、ある種の特異的な細菌群を含んだプラークだけが病原性を有しており、歯周病の発症や進行にかかわるという仮説です。

これは、ある種の細菌群が歯周組織を破壊する物質を産生することで、歯周病を引き起こすという考えです。
この説は、歯周病原細菌の分離培養や、
その分類や同定の技術が進歩して、
さらに確信をもたれるようになりました。

こうして、「非特異的プラーク仮説」では説明できなかったことが、説明できるようになりました。

ところが、「非特異的プラーク仮説」に
「特異的プラーク仮説」が加わってもまだ、
以下のようなことが説明できませんでした。

①特定の細菌群の有無によって歯周病に罹患するかしないのかが、はっきり定まらない

②特定の細菌群に対して確実に効果がある
はずの抗生物質が、歯周病にはさほど効果を示さない

これらの理由として考えられるのが、
細菌バイオフィルムの形成です。
歯根表面では、最初に根面に付着するグラム陽性菌を足がかりにしてグラム陰性の嫌気性菌が凝集し、その後に歯周病原細菌といわれる細菌群が繁殖するようです。

また成熟したバイオフィルムでは、
細菌はお互いに付着し合ってグリコカリックス(glycocalyx:細胞外多糖)という膜(基質)に包まれ、シグナルを出し合っています。
その基質に守られたバイオフィルムは、
内部に抗菌剤を浸透させないだけでなく、
病原性も高まることがわかっています。

そのため、現在でも、歯肉縁下のバイオフィルムをもっとも効果的に破壊する方法としては、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)などの機械的な除去法に落ち着いているのです。

さて、「非特異的プラーク仮説」に基づいた臨床においてプラークコントロールを徹底するためには、どうすれば良いでしょうか?
もちろん歯科医院でのプロフェッショナルケアは非常に重要です。
しかしプロフェッショナルケアはなどで根面を徹底的にきれいにしたとしても、患者様
による日常のセルフケアが十分にできていなければ、4日間ほどで細菌はもとどおりに繁殖してしまうのです。

では、患者さんのセルフケアだけで歯をバイオフィルムから守ることはできるのでしょうか?

1日3回ブラッシングする患者様なら12時間に一回程度の間隔で、機会的清掃で口腔内が綺麗になる機会があります。

しかし一方で、ブラッシングでは歯周ポケットの中にわずかしかブラシの毛先が到達しません。

ということは、歯周ポケットの中の細菌は除去されず放置されてしまいます。

でも、それでいいのです。

ただし、「プラークコントロールを確実に実施し、また頻繁に専門家によるプラーク除去処置を受けている」という条件付きです。

この条件がまっとうされているならば、
歯内線上プラークの中に含まれる歯周病原細菌の数は減少し、
しかもブラシのほとんど届いていないはずの
歯肉縁下のプラークに含まれる歯周病原細菌も減少するということがわかっています。

プラークと歯周病の関連については、
バイオフィルムへの理解が進むにつれ、
さらに明確になってきました。
しかしまだ、「いつ」「どこが」歯周病になるかといったことなど謎はたくさん残されており、
宿主の抵抗性(免疫力)や
環境(喫煙のような全身的な環境や口腔の部位・形態など)も深くかかわるようです。

先日テレビでも放送されていた
非外科的歯周病治療器「ブルーラジカル P-01」と患者行動変容アプリ「ペリミル」のような最新の治療もあるそうです。
これは、重度歯周病をターゲットとした非外科的治療法として、世界で初めて実用化され、
厚生労働省の医療機器認定において、「歯周治療・歯周炎・歯周ポケットの殺菌・スケーリング」と明記された初めての歯周病治療器だそうです。

ホームページによると従来の治療法と比較して、歯周ポケットを優位に減少させることを治験で証明した唯一の治療器でもあります。そのため、この新しい歯周病治療器は「歯周炎のステージⅢ・Ⅳの患者に対して、歯周ポケット内の殺菌と同時にスケーリングを行う」という明確な使用目的と、「歯周ポケットの減少」にコミットする初めての治療器です。
とあります。

歯周ポケットのケアは難易度の高い処置になるので非常に効果的ですね。

しかし、
いずれにしても患者様ご自身のセルフケアと
歯科医院でのプロフェッショナルケアの
両方が歯周病の治療、ケアには必要です。

長くなりましたがみなさんご自身では問題無いと思っていても定期的に歯科医院を受診しましょう★

【監修】院長 元島慧 

院長経歴
2012年 歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 竹村歯科 本町医院院長就任
参加セミナー
2016年  大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年  明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了 
2017年  i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年  大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年  山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年  山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年  大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年  牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年  ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年  ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年  第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年  大森塾7期 (総合治療)修了
2019年  大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年  山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年  CREDセミナー (保存治療)修了
2022年  臨床歯科麻酔管理指導医取得

所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医