マウスピースについて
- 2025年12月10日
- かみ合わせ、咬合治療,検査・診断
みなさん、こんにちは!
竹村歯科 本町医院です。
もうすぐクリスマスですね 🙂
雪が降るか楽しみですね 🙂
さて、今回は、「マウスピース」について、説明させていただこうと思います。
よろしくおねがいいたします。
マウスピースの基本的な役割と機能
睡眠中に使用するマウスピースは、主に歯や顎関節、そして周辺組織を保護する目的で設計されています。
最も基本的な機能は、夜間の歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズム)から歯を守ることです。
歯ぎしりや食いしばりは、日中の咬合力の数倍から十数倍もの力が歯にかかる現象です。
この異常な力は、歯の摩耗や破折、詰め物の脱離、歯の移動などを引き起こします。
マウスピースは、上下の歯の間に介在することで、直接的な接触を防ぎ、力を分散させる役割を果たします。
また、マウスピースは顎関節への負担軽減にも大きく貢献します。
不適切な咬合や過度な筋肉の緊張は、顎関節症の原因となりますが、適切に調整されたマウスピースは、理想的な顎の位置を維持し、関節への負荷を軽減します。
睡眠時無呼吸症候群への対応
近年特に注目されているのが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対するマウスピース治療です。
この症候群は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する疾患で、日中の眠気や集中力低下、さらには心血管疾患のリスク増加など、深刻な健康問題を引き起こします。
睡眠時無呼吸症候群用のマウスピース(オーラルアプライアンス)は、下顎を前方に位置させることで気道を確保します。
舌根部の沈下や軟口蓋の振動を防ぎ、呼吸の通り道を安定的に維持することで、無呼吸やいびきの改善を図ります。
この治療法は、CPAP(持続陽圧呼吸療法)に比べて携帯性に優れ、使用感も良好であることから、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群患者において、第一選択の治療法として位置づけられることも増えています。
ブラキシズムの種類と影響
ブラキシズムには、主に三つのタイプがあります。
グラインディング(歯ぎしり)は、上下の歯を横方向に擦り合わせる動作で、特徴的な音を発します。
クレンチング(食いしばり)は、上下の歯を強く噛み合わせる動作で、音は発しませんが強い力が歯にかかります。
タッピングは、上下の歯を断続的に打ち合わせる動作です。
これらの動作は、歯や歯周組織、顎関節、咀嚼筋に様々な影響を与えます。
歯への影響としては、エナメル質の摩耗、象牙質の露出、歯の破折、知覚過敏などが挙げられます。
歯周組織への影響では、歯肉の炎症、歯槽骨の吸収、歯の動揺などが見られます。
顎関節への影響は、関節円板の変位、関節雑音、開口障害、顎関節症などです。
咀嚼筋への影響では、筋肉の疲労、圧痛、頭痛、首や肩のこりなどが生じることがあります。
マウスピースの種類と特徴
睡眠中に使用するマウスピースには、いくつかの種類があり、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。
ハードタイプのマウスピースは、アクリル樹脂などの硬い材料で作製され、耐久性に優れています。
強い歯ぎしりや食いしばりに対しても効果的で、長期間の使用に適しています。
ソフトタイプのマウスピースは、柔らかい材料で作製され、装着感が良好です。
初めてマウスピースを使用する方や、軽度のブラキシズムの方に適しています。
しかし、強い力がかかると破損しやすく、定期的な交換が必要です。
デュアルラミネートタイプは、外側が硬く内側が柔らかい二層構造になっており、耐久性と装着感の両方を兼ね備えています。
多くの症例に対応できる汎用性の高いタイプです。
全身への影響と健康効果
睡眠中のマウスピース使用は、口腔内だけでなく全身の健康にも良い影響を与えます。
ブラキシズムの軽減により、頭痛や首・肩のこりが改善されることがあります。
これは、咀嚼筋の緊張緩和により、周辺の筋肉への負担が軽減されるためです。
また、睡眠の質の向上も期待できます。
歯ぎしりや食いしばりによる微小な覚醒が減少することで、深い睡眠が得られやすくなります。
良質な睡眠は、免疫力の向上、ストレス軽減、認知機能の向上など、様々な健康効果をもたらします。
睡眠時無呼吸症候群の改善により、心血管疾患のリスク低下も期待できます。
無呼吸による酸素不足や血圧上昇が改善されることで、心臓や血管への負担が軽減されます。
使用上の注意点と管理方法
マウスピースを効果的に使用するためには、適切な管理と注意点の理解が重要です。
まず、清潔な状態を保つことが不可欠です。
使用後は水で洗浄し、専用の洗浄剤を使用して細菌の繁殖を防ぎます。
また、乾燥した清潔な場所で保管し、専用ケースを使用することで破損を防げます。
装着感に違和感がある場合は、無理に使用を続けず、歯科医師に相談することが大切です。
不適切な装着は、かえって症状を悪化させる可能性があります。
定期的な歯科検診も重要です。
マウスピースの状態確認とともに、口腔内の健康状態をチェックし、必要に応じて治療や調整を行います。
【監修】院長 元島慧
○院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
○参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
所属学会・スタディグループ
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医
大森塾
CERI Club
General endo
FDP