🦷 骨造成とは?失われた骨を取り戻す再生治療|本町医院 竹村歯科|大阪本町の歯科クリニック

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本町医院 竹村歯科の医療コラム

🦷 骨造成とは?失われた骨を取り戻す再生治療|本町医院 竹村歯科|大阪本町の歯科クリニック

🦷 骨造成とは?失われた骨を取り戻す再生治療

こんにちわ、本町医院 竹村歯科です。

今回はインプラントの際に必要な外科処置についてです。

歯を失ったあとには、時間が経つとその部分のあごの骨(歯槽骨)は少しずつ吸収されていきます。

これは自然な生理的反応で、歯がなくなると「噛む刺激」が伝わらなくなるため、

骨は「もう必要ない」と判断して痩せていくのです。

数年放置すると、骨の高さや厚みが足りなくなり、

インプラント治療ができない状態になることもあります。

そこで行うのが「骨造成(こつぞうせい)」です。

骨造成とは、不足した骨を人工的に再生させる治療法で、

インプラントや審美修復のための“土台作り”として非常に重要な役割を果たします。


🩺 骨が減ってしまう原因

骨が減る理由にはいくつかあります。

  • 抜歯後の自然吸収(歯がない部分の骨が徐々に減る)

  • 歯周病による骨吸収(炎症によって骨が溶ける)

  • 外傷・嚢胞摘出などの外科的要因

  • 長期的な入れ歯使用による圧迫や刺激の欠如

いずれも、骨の再生力だけでは元通りにならないことが多いため、

人工骨や自家骨を用いた再建治療が必要になります。


🧱 骨造成の目的

骨造成の目的は、次のような治療の「基盤」を作ることです。

  • インプラントを安全に埋入できるだけの骨量を確保する

  • 歯肉や顎の形態を整え、自然な見た目を取り戻す

  • 骨の支えを回復させて咬合力を安定させる

見た目だけでなく、機能面の安定にも直結する重要な治療です。


🧫 骨造成の主な方法

骨造成には、骨の欠損部位や大きさによってさまざまな方法があります。

ここでは代表的なものを紹介します。

① GBR法(骨再生誘導法:Guided Bone Regeneration)

もっとも一般的な骨造成法です。

骨が足りない部分に「人工骨(骨補填材)」を入れ、

さらにその上を「メンブレン(コラーゲン膜)」で覆います。

膜で覆うことで、歯肉の細胞が入り込むのを防ぎ、

骨芽細胞がゆっくり新しい骨を作るスペースを確保します。

インプラント手術と同時に行うことも多く、小〜中程度の骨不足に適しています。

② サイナスリフト・ソケットリフト(上顎洞底挙上術)

上あごの奥歯の上には「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞があり、

抜歯後はその底が薄くなって骨が足りなくなりがちです。

この部分に人工骨を入れて、上顎洞の底を押し上げて骨を再生するのが

サイナスリフト(大きな造成)やソケットリフト(小規模な造成)です。

上顎の臼歯部インプラントでは非常に一般的な骨造成法です。

③ 自家骨移植

患者様ご自身の骨(多くは下顎の角やオトガイ部など)を一部採取して、

骨が足りない部分に移植する方法です。

生体適合性が最も高く、骨再生能力も非常に優れているのが特徴です。

ただし、採骨部に痛みや腫れが出ることがあるため、大きな骨欠損や難症例で選択されます。

④ スプリットクレスト法

骨の厚みが足りない場合に、既存の骨を中央で割って広げる方法です。

その間にインプラントを埋入し、空隙に骨補填材を入れて再生を促します。

顎の幅が薄いケースに適しています。


⏳ 治療の流れと期間

🏥 ① 初診・カウンセリング

まずは、現在のお口の状態を丁寧に確認します。

歯を失った部位や抜歯後の期間、過去の治療歴、全身疾患、喫煙習慣などを詳しく伺い、

「どのくらい骨が残っているか」「骨造成が必要かどうか」を判断します。

この段階ではまだ治療を始めるわけではなく、情報収集と治療方針の相談が中心です。

必要に応じてレントゲン撮影などを行い、患者様と一緒に治療のゴールを共有します。

🧠 ② 精密検査・CT撮影

次のステップは精密検査やCT検査(3D画像診断)です。

通常のレントゲンでは平面的にしか骨の状態を把握できませんが、CTでは

  • 骨の高さ

  • 骨の厚み

  • 神経や上顎洞の位置を立体的に確認できます。

これにより、どの部位にどの程度の骨造成が必要かを正確に設計できます。

また、血液検査など全身状態の確認を行うこともあります。

📋 ③ 治療計画の説明

検査結果をもとに、歯科医師が骨造成の方法と治療期間、費用の目安を詳しくご説明します。

代表的な方法としては以下のものがあります。

  • GBR法(人工骨+膜で覆う方法)

  • サイナスリフト/ソケットリフト(上顎洞を持ち上げる方法)

それぞれ治療期間や費用が異なるため、

患者様の希望・健康状態・骨量に応じて最適なプランを提案します。

※治療費の目安:

小規模GBRで5〜10万円前後、サイナスリフトで10〜15万円前後、大幅な骨造成を伴う場合は15〜25万円程度が目安です。

💉 ④ 骨造成手術

治療方針が決定したら、いよいよ骨造成手術を行います。

手術は局所麻酔で行い、痛みはほとんど感じません。

骨が不足している部分に人工骨(または自家骨)を補填し、

その上に
メンブレン(コラーゲン膜)を被せて縫合します。

これにより、歯肉の細胞が骨形成スペースに入り込むのを防ぎ、

骨がゆっくりと再生していく環境を整えます。

手術後は腫れや違和感が出る場合がありますが、通常は2〜3日で落ち着きます。

抗生剤や鎮痛薬を服用しながら、安静に過ごしていただきます。

🕒 ⑤ 治癒期間(約4〜9か月)

手術後は、骨が再生・成熟するまで時間をかけて待つ期間に入ります。

再生スピードは個人差がありますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • 小規模GBR:約4〜6か月

  • サイナスリフトなど大規模造成:約6〜9か月

この期間中に、骨補填材のまわりに新しい骨が形成され、

やがて自分自身の骨として一体化していきます。

治癒期間中は、感染予防のためにも口腔内の清掃と定期チェックが非常に大切です。

歯科医院では1〜2か月ごとに経過を観察し、膜の露出や感染がないかを確認します。

📸 ⑥ 再評価・CT確認(最終確認)

治癒期間が終わったら、再度CT撮影を行い骨の再生状態を確認します。

新しい骨が十分な厚み・高さで再生していれば、次のステップ(多くの場合インプラント埋入)に進みます。

もし骨の成熟がまだ不十分な場合は、もう少し待機したり、追加造成を検討することもあります。

🦷 ⑦ 次のステップへ:インプラント手術または補綴治療

骨がしっかり再生したことを確認できたら、インプラント埋入手術を行います。

インプラント手術自体は1〜2時間ほどで終わり、そこからさらに**骨との結合(オッセオインテグレーション)**に約3〜4か月かかります。

つまり、初診からインプラントの最終補綴までをトータルでみると、

約8〜12か月程度が目安となります(症例によっては1年以上になることもあります)。

⚠️ 骨造成後の注意点

  • 手術当日は安静を保ち、強くうがいをしない

  • 傷口に舌や指で触れない

  • 禁煙(喫煙は血流を悪くし、骨再生を妨げます)

  • 指示通りの抗生剤・消毒を継続

  • 定期的なクリーニング・チェック

これらを守ることで、感染を防ぎ、骨が安定して再生する確率が高まります。


⚠️ 合併症・注意点

  • 腫れや痛み、出血

  • 感染(人工骨や膜の露出)

  • 上顎洞炎(サイナスリフトの場合)

  • 骨が予定より吸収してしまう場合

これらのリスクを最小限にするためには、清潔な術野管理正確な外科技術が不可欠です。

また、喫煙や糖尿病は治癒を遅らせるため、術前の全身管理も大切です。


🧠 骨造成が成功するために大切なこと

  1. 術者の経験と技術

     骨の再生は繊細な外科操作を伴うため、経験豊富な歯科医師のもとで行うことが重要です。

  2. 良好な口腔衛生状態

     プラークや歯肉炎があると感染リスクが高まります。

  3. 禁煙と全身管理

     喫煙や慢性疾患があると、骨の再生スピードが遅くなります。

  4. 治療後のメンテナンス

     再生した骨を長く維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。


🌱 骨造成がもたらす未来

骨造成によって、これまで「骨が足りない」と言われてインプラントを諦めていた方も、

治療の可能性が広がるようになりました。

近年は人工骨やコラーゲン膜の性能も格段に進化し、安全性・予知性ともに向上しています。

骨造成は単なる外科手術ではなく、

「噛める」「笑える」「自然な口元を取り戻す」ための再生医療です。

見た目と機能の両方を取り戻す第一歩として、多くの患者様に希望をもたらしています。

【監修】院長 元島慧 

○院長経歴

2012年 朝日大学歯学部卒業

2016年 大阪市内にて勤務

2020年 本町医院 竹村歯科院長就任

○参加セミナー

2016年  大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了

2017年  明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了 

2017年  i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了

2017年  大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了

2017年  山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了

2017年  山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加

2018年  大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了

2018年  牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了

2018年  ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了

2018年  ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了

2018年  第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了

2018年  大森塾7期 (総合治療)修了

2019年  大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了

2019年  山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了

2021年  CREDセミナー (保存治療)修了

2022年  臨床歯科麻酔管理指導医取得

2022年  日本顎咬合学会認定医取得

所属学会

日本臨床歯科学会

日本顎咬合学会 認定医

日本顕微鏡歯科学会

臨床歯科麻酔管理指導医