根管治療におけるMTAセメントの優位性とは?
- 2025年9月8日
- 根管治療
こんにちは!
本町医院 竹村歯科です♪
8月も終わり徐々に秋に近づいて来ていますね。
それでも日中は暑いですね。。。
さぁそんな暑い日がまだまだ続いておりますが
今日も熱い情報をお届けできればと思います!
さて、皆さんは「根管治療(こんかんちりょう)」という言葉をご存じでしょうか?
虫歯が深く進んで神経に達してしまった場合や、歯の根の先に膿がたまった場合に行う治療で、歯を残すための最後の砦とも呼ばれる大切な処置です。
そんな根管治療において、近年注目されている材料が MTAセメント です。従来の材料と比べて優れた性質を持ち、歯を長く残す可能性を大きく広げてくれる“革新的な素材”といえます。今回は、そのMTAセメントのメリットをわかりやすくご紹介します。
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1.MTAセメントとは?
MTAとは「Mineral Trioxide Aggregate(ミネラルトリオキサイドアグリゲート)」の略で、1990年代にアメリカで開発された歯科用セメントです。
主成分はカルシウム系の鉱物で、生体親和性が非常に高いのが特徴です。水分がある環境でも安定して固まるため、唾液や血液に触れる口腔内でも安心して使用できる点が評価されています。
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2.MTAセメントの7つの大きなメリット
① 硬化膨張する
MTAは固まるときにわずかに膨張します。この膨張性により、歯の根管内にできやすい微小な隙間を埋め、しっかり密封することができます。
細菌が再び入り込むリスクを減らし、根管治療の成功率を高めます。
② 象牙質に接着する
従来の材料は歯の内壁とぴったり一体化させるのが難しかったのですが、MTAは象牙質と強固に接着する特性を持ちます。
このため、材料の脱落や隙間の形成が起こりにくく、長期的な安定性に優れています。
③ 殺菌作用がある
MTAは硬化すると強いアルカリ性を示し、細菌にとって住みにくい環境をつくり出します。
これにより、残存していた細菌の働きを抑える効果が期待でき、再感染のリスクを低減します。
④ 歯質強化が期待できる
MTAが象牙質と接着する過程で、カルシウムイオンを放出し、周囲の歯質を再石灰化(さいせっかいか)させる働きがあります。
この再石灰化は歯を内側から強くする効果があり、治療後の歯の耐久性を高めることにつながります。
⑤ 安全性が高い
MTAは生体親和性が非常に高く、歯の神経や根の先の組織に触れても強い炎症を起こしにくい材料です。
アレルギーや副作用のリスクも低く、安心して使用できる点は大きな魅力です。
⑥ 耐溶解性が高い
従来のセメントは、長期間のうちに体液に溶けてしまうことが課題でした。
しかしMTAは水分や体液に対する耐久性が非常に高く、長期間安定して存在し続けるため、根管のシール力を維持できます。
⑦ 細胞活性作用がある
MTAは周囲の細胞を活性化させ、歯や骨の組織再生を促す作用があることが研究で示されています。
特に、歯の神経を残す「歯髄温存療法」や、歯根の先端閉鎖・穿孔部の修復などにおいて、治癒の促進が期待できます。
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3.従来の材料との違い
以前は「ガッタパーチャ」や酸化亜鉛ユージノールセメントといった材料が主に使われていましたが、
• 隙間ができやすい
• 殺菌効果が弱い
• 長期的に溶解してしまうことがある
といった課題がありました。
それに対してMTAは、上記7つのメリットにより、歯を長く守る可能性を大きく広げています。
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4.MTAの注意点
ただし、MTAにもデメリットがあります。
• 練和や充填の操作が難しい
• 硬化に時間がかかる(数時間以上)
• 一部製品では変色のリスクがある
• 保険適用外のケースが多く、費用が高くなる場合がある
これらの点から、歯科医師の経験や設備が重要になります。
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5.まとめ
MTAセメントは、根管治療において従来の材料の弱点を補う、非常に優れた素材です。
特に以下の7つのメリットは、患者様にとって大きな安心材料となります。
1. 硬化膨張する
2. 象牙質に接着する
3. 殺菌作用がある
4. 歯質強化が期待できる
5. 安全性が高い
6. 耐溶解性が高い
7. 細胞活性作用がある
これらの性質により、従来であれば抜歯が避けられなかった歯も残せる可能性が広がり、長期的に自分の歯を守れる治療へとつながっています。
根管治療が必要になった際は、「MTAセメントを使った治療が可能かどうか」を、ぜひ歯科医師に相談してみてください。
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👉 当院でもMTAセメントを用いた根管治療や歯髄温存療法を導入し、歯を残すことに力を入れています。
ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
【監修】院長 元島慧
○院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
○参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医