唾液の力がすごい! 口の中の“自然なバリア機能”とは?
こんにちは!
本町医院 竹村歯科です✨
「最近、口が乾きやすい気がする」
「ネバつきや口臭が気になる」
そんなお悩み、もしかしたら“唾液”の分泌量や働きに関係しているかもしれません。
普段あまり意識しない唾液ですが、実は私たちの健康にとって欠かせない、
天然のバリア機能を果たしてくれています。
今回は、そんな唾液の驚くべき働きについて、
歯科の視点からわかりやすくお話ししていきます。
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■ 唾液はただの水分じゃない
唾液は、私たちの口の中に常に存在している透明な液体ですが、
その成分は非常に多機能です。
1日に分泌される量は、成人で平均1〜1.5リットル。
飲み物を意識的に摂らなくても、身体の中でこれだけの潤いが保たれているのです。
唾液は、耳下腺・顎下腺・舌下腺という3つの「大唾液腺」を中心に、
舌や頬の内側にもある「小唾液腺」から分泌されます。
その働きは驚くほど多彩で、まさに口腔内の守護者とも言える存在なのです。
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■ 唾液が果たす6つの重要な役割
1. むし歯や歯周病から歯を守る“洗浄作用”
食後や就寝中など、歯には細菌や食べかすが付着しやすくなります。
唾液には、これらを自然に洗い流す「自浄作用」があります。
つまり、唾液がしっかり分泌されていれば、
歯ブラシを使わずともある程度の汚れが落ちているのです。
また、食事後に酸性に傾いたお口の中を中和する「緩衝作用」もあります。
これによって、歯の表面が溶ける(脱灰)ことを防ぎ、むし歯予防に貢献してくれます。
2. 口の中の細菌をやっつける“抗菌作用”
唾液の中には「リゾチーム」「ラクトフェリン」などの抗菌タンパク質が含まれています。
これらの成分は、むし歯菌や歯周病菌の増殖を抑えたり、
ウイルスの侵入を防ぐ働きがあります。
つまり、唾液はお口の中の免疫システムの一部として、常に私たちを守ってくれているのです。
3. 食べ物の消化を助ける“酵素作用”
唾液には「アミラーゼ」という消化酵素が含まれており、
食べ物の中のでんぷんを分解する働きがあります。
ごはんやパンを噛んでいるうちに甘く感じるのは、このアミラーゼの働きです。
口の中でしっかり噛んで唾液と混ぜることで、胃腸への負担も軽くなり、
消化がスムーズに進みます。
4. 話す・飲み込む・笑うを助ける“潤滑作用”
唾液は、口の中をなめらかに保ち、会話や飲み込みをスムーズにしてくれます。
唾液が減ると、口の中が乾き、舌や唇が引っかかったり、
滑舌が悪くなったりすることがあります。
また、飲み込みがうまくいかないと誤嚥(ごえん)を起こすリスクも高まります。
高齢者にとって唾液は命を守る要素でもあるのです。
5. 歯の修復を助ける“再石灰化作用”
歯は食事や飲み物によって酸にさらされ、表面のミネラルが失われていきます。
この状態が続くと、むし歯が進行します。
しかし、唾液にはカルシウムやリンといったミネラルが含まれており、
失われた歯の表面を再び補修する「再石灰化」が起こります。
これによって、初期むし歯であれば自然に回復する可能性もあるのです。
6. 傷を治す“修復・保護作用”
唾液には粘膜の修復を促す成分も含まれており、口内炎や傷の治りを早めてくれます。
唾液がたっぷりあれば、歯ぐきや頬の内側の小さな傷も自然と回復していくため、
口腔内の回復力を支えていると言えるでしょう。
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■ 唾液が減るとどうなるの?
唾液の分泌量が減ると、さまざまな不調があらわれます。
口の中の乾燥、ネバつき、口臭、むし歯の増加、歯ぐきの腫れ、
食事や会話のしにくさなど、多くの問題の“元凶”となるのが「唾液不足」です。
とくに更年期以降の方、薬の副作用がある方、ストレスの多い生活を送っている方などは、
**「ドライマウス(口腔乾燥症)」**になりやすいため注意が必要です。
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■ 唾液を増やすためにできること
唾液の分泌を促すために、次のようなことを意識してみましょう。
• よく噛んで食べる(1口30回が目安)
• ガムを噛む(虫歯にならないようキシリトールガムがおすすめ)
• 水分をしっかりとる(1日1.5リットル程度)
• 唾液腺マッサージを行う
• 会話や表情を意識的に増やす
• ストレスをためすぎない
また、お口の乾燥がつらい場合は、
保湿ジェルや口腔用スプレーなどを活用するのも良いでしょう。
市販品でも対処可能ですが、状態によっては歯科医院での相談をおすすめします。
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■ まとめ:唾液は「自然の最強サポーター」
唾液は、歯や歯ぐきをむし歯や歯周病から守り、食事や会話、
そして全身の健康までを支えてくれる、大切な存在です。
何気なく流れているこの“透明な液体”が、
実は私たちの健康を守る最前線で活躍しているのです。
「最近、唾液が減った気がする」「口が乾いて不快」「むし歯が増えた」
そんなときは、ぜひ一度、唾液の働きに注目してみてください。
ご自身でできるケアもありますし、
必要であれば歯科医院での検査・アドバイス・専門的なケアも可能です。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談くださいね。
【監修】院長 元島慧
○院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
○参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医