歯の痛みの種類と原因について
- 2025年5月5日
- 虫歯治療,かみ合わせ、咬合治療,検査・診断
こんにちは、本町医院 竹村歯科です!
「歯が痛いけど、どこが悪いんだろう?」「冷たいものがしみる」「噛むとズキッとする」…
こうした症状でお悩みの方は多いのではないでしょうか?
実は、歯の痛みの“出方”にはさまざまなパターンがあり、それぞれ原因が異なります。
痛みの種類を知ることは、原因を突き止めて正しく治療するうえでとても重要です。
今回は、患者様からよくいただくご相談内容をもとに、
歯の痛みの種類とその主な原因についてわかりやすくお話ししていきます。
ぜひ、ご自身やご家族の症状と照らし合わせながらお読みください。
①冷たいものがしみるとき ― 知覚過敏かも?
アイスクリームや冷たい水を飲んだとき、
歯に「キーン」と鋭い痛みを感じることはありませんか?
これは知覚過敏と呼ばれる状態で、歯の表面を覆うエナメル質がすり減ったり、
歯ぐきが下がって歯の根っこの部分(象牙質)が露出したりすることで起こります。
原因としては、強すぎるブラッシングや歯ぎしり・食いしばり、
さらには加齢や歯周病による歯肉の退縮などが挙げられます。
痛みが一時的なものであれば、知覚過敏用の歯磨き粉や歯科でのフッ素塗布、
コーティング処置などで改善できることがあります。
②温かいものや夜間にズキズキする ― 神経の炎症かも?
何もしていなくてもズキズキと痛む、温かいものがしみるといった場合は、
歯の中にある神経(歯髄)が炎症を起こしている可能性があります。
この状態を**歯髄炎(しずいえん)**と呼びます。
歯髄炎の原因は主に虫歯の進行です。
初期の虫歯は痛みを感じにくいですが、放っておくとやがて細菌が神経まで達し、
激しい痛みを引き起こします。特に夜間に痛みが強まることが特徴的です。
この場合は、歯の神経を取り除く「根管治療(こんかんちりょう)」が必要になります。
痛みを放置すると、神経が死んでさらに悪化する恐れがあるため、
できるだけ早く治療を受けましょう。
③噛むと痛い ― 根の先に炎症があるかも?
食事中に噛むときだけ歯が痛むという方は、
歯の根の先にある組織が炎症を起こしている可能性があります。
これは「歯根膜炎(しこんまくえん)」と呼ばれる状態で、
歯の根の周囲のクッションのような組織が腫れて痛みを感じるものです。
原因には、神経の炎症や治療後の再感染、噛み合わせの不調などがあります。
虫歯が進んで神経が死んでしまった後に、
細菌が根の先まで入り込んで炎症を起こすこともあります。
この場合も、再度の根管治療や、場合によっては外科的な処置が必要になります。
特に「噛んだときだけ痛む」という症状は、我慢しやすく見過ごされがちですが、
根の先に膿がたまると顔が腫れるなどの強い症状につながることもあるので注意が必要です。
④歯ぐきが腫れて痛い ― 歯周病や膿の可能性
歯自体ではなく、歯ぐきが腫れて痛むという場合は、
「歯周病(歯槽膿漏)」や「歯根の先に膿がたまっている状態(根尖病変)」が疑われます。
歯周病は、歯と歯ぐきの間にたまったプラーク(歯垢)に含まれる細菌が原因で、
歯を支える骨が徐々に溶けていく病気です。
初期は出血や軽い腫れだけですが、進行すると歯がグラグラしたり、
膿が出たり、口臭がきつくなったりします。
また、歯の根の先にできる膿のかたまり(嚢胞)も、似たような腫れや痛みを引き起こします。
この場合は、歯ぐきの一部がぷくっと膨らみ、押すと痛い、白い膿が出るなどの症状が見られます。
いずれにしても、原因となる細菌を取り除く治療が必要です。
歯周病は定期的なクリーニングで予防・進行の抑制が可能ですので、
歯ぐきに違和感を覚えたらすぐにご相談ください。
⑤顎が痛い・歯が浮く感じがする ― 顎関節症や噛みしめによる痛みかも?
「奥歯が痛いような気がするけど虫歯じゃない」
「朝起きたら歯が浮いたような感覚がある」
「顎がカクカク鳴って痛む」
こうした症状は、顎関節症や歯ぎしり・食いしばりによるものかもしれません。
ストレスがたまっていたり、無意識に歯をグッと噛みしめたりする癖があると、
歯や顎の筋肉、関節に過剰な負担がかかってしまいます。
その結果、歯に痛みや圧迫感が出たり、顎の関節が痛くなったりするのです。
このような場合は、歯科で作る「マウスピース(ナイトガード)」が有効です。
歯を保護し、筋肉への負担を軽減することで痛みを緩和します。
噛み合わせの調整や、生活習慣の見直しも大切です。
⑥抜歯後の強い痛み ― ドライソケットの可能性
親知らずなどを抜いたあと、しばらくしてから強い痛みが出ることがあります。
これは「ドライソケット」と呼ばれる状態で、
抜歯した穴にできるはずの血のかさぶたがうまく形成されなかった場合に起こります。
通常、血餅(けっぺい)と呼ばれるかさぶたが骨を保護し、傷口の治癒を助けますが、
それが失われると骨がむき出しの状態になり、非常に強い痛みを引き起こします。
治療には、歯科での洗浄や鎮痛処置、場合によっては再度かさぶたを作る処置が行われます。
抜歯後は、強いうがいや喫煙を控え、指示されたケアをしっかり行うことが大切です。
⑦痛みがなくても要注意 ― 初期虫歯は静かに進行する
最後に、「痛くない=問題ない」わけではないという点もぜひ覚えておいてください。
初期の虫歯や歯周病はほとんど痛みを感じません。
知らず知らずのうちに進行してしまい、ある日突然痛みが出る頃には、
神経まで達していた…ということも少なくありません。
歯を健康に保つためには、「痛みが出てから」ではなく、「痛くなる前の予防」が何より重要です。
2ヶ月から半年に1回は定期検診を受けることをおすすめします。
⑧まとめ ― 痛みを感じたら、我慢せずすぐに相談を
歯の痛みは、虫歯だけが原因ではありません。
知覚過敏や神経の炎症、歯周病、顎関節症など、
痛みの種類によって必要な治療は大きく異なります。
だからこそ、「このくらいなら我慢できるし…」と放っておかず、
少しでも違和感を感じたら早めにご相談ください。
当院では、患者様お一人おひとりに合わせた丁寧な診察と説明を心がけております。どんな小さなことでも、どうぞお気軽にご相談ください♪
【監修】院長 元島慧
○院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
○参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医