新型タバコについて①
こんにちは!
本町医院 竹村歯科です!
以前何度か歯周病と喫煙について投稿しましたが今回はタバコについてです。
日本の喫煙率は約50年間にわたって減少傾向にあるものの、新型タバコ、とくに加熱式タバコの流行が禁煙推進の新たな障壁となっています。
歯科でも禁煙関連10学会が合同で見解を発表するなど、対応の動きが広がっています。
①日本における喫煙の現状について
1) 喫煙率の推移と現状
厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年)によると、日本の喫煙率は男女計16.7%です。男性の喫煙率は減少傾向が続き27.1%ですが、諸外国と比べていまだ高い水準にいます。
一方,女性の喫煙率は10%前後を推移しながら、横ばいからやや減少傾向になり7.6%です。年齢階級別にみると、男性の30~50歳代では30%超,女性の40~50歳代では10%超と喫煙率が高い年齢層が存在しています。
2)新型タバコの使用実態
日本では、新型タバコのうち加熱式タバコ使用者が,2016年から2019年にかけて急増しました。
国内のタバコ販売数量をみても、紙巻きタバコが減少の途をたどる一方で,
加熱式タバコは逆に増加を続けており、
その販売シェアは2021年に3割を超えています。
国民健康・栄養調査(2019年)によると、
喫煙者の4人に1人(男性27%,女性25%)が
加熱式タバコを使用しており、
そのうち紙巻きタバコとの併用者が1/4を占めます。
とくに男性では30~40歳代(40~50%),
女性では20~30歳代(50%)の便用割合が高いです。
中高生においても新型タバコの使用がみられ、ゲートウェイ効果(紙巻きタバコの入り口となる)が危慣されています。
②新型タバコの種類と仕組み
一般に新型タバコと呼ばれているのは、加熱式タバコと電子タバコ(VAPE[ベイプ])です。
両者の大きな違いは、「タバコの葉を使用しているかどうか」です。加熱式タバコはタバコの葉を使用しているタバコ製品であり、たばこ事業法に基づいて販売されています。
一方,電子タバコはタバコの葉を使用しないため、厳密にはタバコ製品には該当しません。
紙巻きタバコはタバコの葉を燃焼して発生させた煙を吸引しますが、加熱式タバコはタバコの葉を、電子タバコはE-リキッドとよばれる液体を電気的に加熱して、発生させたエアロゾルを吸引します。
加熱式タバコはタバコの葉を使用するため、
エアロゾルにはニコチンを含みます。
電子タバコは、海外ではニコチンを含む製品が使用されていますが、
日本では医薬品医療機器等法により、
ニコチンを含む電子タバコの製造販売が規制されています
(海外からの個人輸入での入手は可能)、
ニコチンを含まない電子タバコは、
業界による自主規制はあるが未成年でも購入できる状況です。
日本で流通している加熱式タバコは、
加熱方式により、タバコの葉を含む専用スティックを直接的に加熱する(200°C以上)高温加熱式(アイコス、グローなど)、
E-リキッドを加熱して発生したエアロゾルをタバコの葉のカプセルに通過させて、
蒸気で間接的に加熱する(30~40°C)低温加熱式(ウィズなど),
両者のハイブリッドタイプである中高温加熱式(リルなど)に分類されます。
新製品や改良機種が次々と発売されていて、
大手のタバコ会社が販売している製品のほか,非正規品も流通しています。
③新型タバコの有害成分
a.加熱式タバコ
加熱式タバコはタバコの葉を燃焼させないため、
加熱式タバコと紙巻きタバコから発生する化学物質の組成は異なります。
加熱式タバコのエアロゾル中の化学物質濃度を紙巻きタバコと比較したところ、
ニコチンは同等かやや低く、タールはやや低く、一酸化炭素はかなり低いようです。
一方,プロピレングリコールやグリセロールは、
加熱式タバコからの発生量がかなり多いとの事です。これらの物質の毒性は比較的低いですが、
熱分解により発がん性物質が発生する可能性があります。
紙巻きタバコと比較して,加熱式タバコから発生する発がん性物質の量は少ないが、”それなりの量”が発生します。発がん性物質のほか、呼吸器、心血管系,生殖または発達に影響する物質も含まれています。また、加熱式タバコ使用者から呼出されるエアロゾルにも、発がん性物質であるアルデヒド類が含まれています。
b.電子タバコ
日本で販売されている電子タバコからも、人体に有害なオキシド類、アルデヒド類が発生します。電子タバコの発がん性物質は製品によってばらつきが大きく、紙巻きタバコよりも高い値を示す製品もあり,電力が高くなるほどその発生量は増加します。また,E-リキッドの基材であるプロピレングリコールやグリセロールを主成分とする2.1umの微小粒子が大量に発生し,直接肺胞まで達する可能性があります。
④喫煙と各種疾患との因果関係
喫煙の健康影響については、厚生労働省「たばこ白書」が日本人における喫煙と各種疾患との困関係のエビデンスを、「米国公衆衛生総監報告書」にならいレベル1~4で判定しています。喫煙者本人および周囲の人への影響についての科学的根拠が「レベル1:因果関係を推定するのに十分である」と判定された疾患には様々ながんが提示されています。
さらに、歯科口領域においては「レベル2:因果関係を示唆しているが十分ではない」と判定された疾患も提示されており、例に挙げるとう蝕、歯の喪失です。
「たばこ白書」には含まれていないが、妊娠中喫煙と唇裂口蓋裂との因果関係もすでに確立しています。
タバコにも色々ありますね。
今日はここまでにして、後日健康への影響などについてお話ししたいと思います。
【監修】院長 元島慧
○院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
○参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医