歯周基本治療について
- 2024年10月21日
- 歯周病治療
こんにちは!
本町医院 竹村歯科です。
今回は歯周病の治療の基本的な流れを説明します。
医療面接、検査・診断を経て歯周病の治療が開始されますが、大きく分けて、
歯周基本治療、歯周外科治療、
口腔機能回復治療、メインテナンス
に分かれます。
そのステップごとに再度の検査(再評価)を挟んで、治療の効果が上がっているかどうかを確認します。
ではなぜ歯周基本治療が必要かという理由についてです。
最新(2022年)の厚生労働省が行なった歯科疾患実態調査 によると
45歳以上の約5割が歯周ポケット(4 mm以上)を有するという結果が得られています。
また、最新(2018年)の公益財団法人8020推進財団が行なった永久歯の抜歯原因調査 によると、歯周病は永久歯の主要な抜歯原因である(歯周病 37.1 %,う蝕 29.2 %) という結果も得られています。
以上のことから歯周基本治療(原因・リスク因子の除去)はすべての患者様に必要です!
歯周基本治療とは大きく分けて
1.原因因子(細菌因子)の除去
2.リスク因子(宿主因子・環境因子)の把握と改善からなります。
つまり、
1)患者様の積極的な治療への参加
2)プラークコントロールの確立
3)プラークリテンションファクターの除去
4)咬合の安定,咀嚼機能の回復
5)原因除去
が原則です(対症療法を慎む)
さらに細く見ていくと
1. モチベーションの向上
2. 口腔衛生指導(OHI)(プラークコントロール)
3. 非外科的歯肉縁上・縁下デブライドメント(スケーリング)
4. テンポラリークラウン、プロビジョナルレストレーション(ブリッジや可撤式補綴装置も含む)の製作→仮歯の作成
5. 部分的なう蝕(虫歯)除去と一時的な仮封(仮のフタ)
6. 不適合/不適切補綴装置の張り出しやマージン(境目)部の削合
7. 早期接触部や咬合干渉部の必要性に応じた咬合調整(急ぎでなければ歯周組織の炎症消退後が望ましい)→噛み合わせの調整
8. 歯の動揺が著しいとき(脱臼寸前もしくは患者が噛みにくい場合)の歯の固定(暫間固定)
9. 根管治療(根っこの治療)
10. ホープレス歯(保存不可能歯)や抜いたほうがよいと判断された智歯などの抜歯
11. 急性炎症に対する対応(切開排膿処置、抗菌薬の処方など)
12. 口腔粘膜疾患、顎関節症などへの対応
基本的にプロフェッショナルケア(歯科医院での治療)がメインとなりますが、
セルフケア(患者さん自身で行うもの)は最優先事項です。
それぞれについて説明していきます。
・モチベーションの向上
口腔衛生指導(OHI)(プラークコントロール)
→患者さんへの動機づけ(モチベーション)とプラークコントロール(歯みがき指導)
歯周病やむし歯の原因の細菌性プラークを歯から取り除くことは治療を的確に進めるためです。
そのためには、自分自身でしっかりと口の中の管理をするという、しっかりとした心構えが大切です。
歯科医師や歯科衛生士はきちんとみがけるようになるまで指導を行います。
・非外科的歯肉縁上・縁下デブライドメント(スケーリング)
→歯石はプラークが固まったものです。
その表面にはまたプラークが溜まるので、
きれいに取り除く必要があります。
取り除く際には、手用または超音波を利用したスケーラー等を用います。
また、歯石の付いていた歯の表面には細菌からの毒素がしみこんでいたり、
表面に溝ができたりしていますので、
それを除去してきれいな歯の表面を作ることをルートプレーニングと呼びます。
これは手用のスケーラーを使用して行います。
・テンポラリークラウン、プロビジョナルレストレーション(ブリッジや可撤式補綴装置も含む)の製作→仮歯の作成
・部分的なう蝕(虫歯)除去と一時的な仮封
・不適合/不適切補綴装置の張り出しやマージン部の削合
・根管治療
・ホープレス歯(保存不可能歯)や抜いたほうがよいと判断された智歯などの抜歯
→プラークが貯まる原因となりますので治療が必要となりますが、詳細はここでは割愛させていただきます。
・早期接触部や咬合干渉部の必要性に応じた咬合調整(急ぎでなければ歯周組織の炎症消退後が望ましい)→噛み合わせの調整
→咬合性外傷(強すぎる噛み合わせの力によって歯や歯を支える歯茎や骨などの周囲の組織、そして、歯が埋まっている顎の骨の付け根である顎関節などに様々な外傷を引き起こしてしまうこと。)引き起こしている歯の場合、歯の安静を保つために、歯の一部を削って、歯と歯のかみ合わせの状態の調整を行うことがあります。
・歯の動揺が著しいとき(脱臼寸前もしくは患者が噛みにくい場合)の歯の固定(暫間固定)
→歯がグラグラと動揺している時は、歯と歯を何本か一緒に固定することです。これによって歯とその周囲の組織が、物を噛む力やブラッシングに耐えられるようにします。暫間固定は文字通りあくまでも暫くの間の処置です。状態が安定したら、歯が本来の機能を果たせるよう最終的な治療を行います。
・急性炎症に対する対応(切開排膿処置、抗菌薬の処方など)
→疼痛は治療の妨げとなり、また病状の進行は最悪の場合命に関わる可能性があります。そのため、まずは消炎鎮痛処置を行います。
・口腔粘膜疾患、顎関節症などへの対応
顎関節症は、顎の関節や顎を動かす咀嚼筋に異常が起こり、「顎が痛い」、「口が開きにくい」、「音がする」、あるいは「ものが噛みにくい」といった症状が現れる病気です。正常咬合(噛み合わせの位置)がわからなくなり治療の妨げとなるため治療が必要となります。
口腔粘膜疾患についてここでは詳細を割愛いたしますが、同じく疼痛は治療の妨げとなるため、治療が必要となります。症例によっては口腔外科がある大きな病院へ紹介となることがあります。
【監修】院長 元島慧
院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医