糖尿病と歯周病の関係性
- 2024年8月5日
- 歯周病治療
こんにちは!
本町医院 竹村歯科です。
糖尿病と歯周病には関係性があるということは皆さんの中には聞いたことがあるかも知れません。
糖尿病がある状態の歯周組織は高血糖による酸化ストレスや様々な細胞レベルのトラブルによってダメージを受けています。
ダメージを受けている歯周組織には、
高血糖というストレスに圧倒されてしまわないアプローチと、そのうえでの原因除去、そしてかかる負担はできるだけ軽く抑えるというアプローチが適しているはずです。
糖尿病患者の歯周治療で配慮すべきアプローチは
①血糖管理で歯周組織を整える:
糖尿病によるストレスをできるだけ抑えるために、内科医との連携で血糖管理を行う
②口腔衛生指導によるプラークコントロールの徹底:
歯周病の原因であるプラークはしっかりセルフコントロールできるよう清掃指導。
③ 低侵襲で効果的なアプローチの実践:
必要となる処置(スケーリング、歯周外科治療)は、できるだけ低侵襲にする。
④ こまめで継続的なメインテナンスの実践:
継続的な歯科医院での歯周組織のメンテナンスによる糖尿病ケア。
が挙げられます。
1)血糖管理の重要性
歯周治療の効果を上げるためにまず行うべきは、血糖管理です。
患者に内科の受診がなく、
健康診断などで糖尿病が疑われる状態であれば、内科の受診を指示します。
厚生労働省の調査では、
糖尿病に罹患している国民が1,000万人おり、
その23.4%が未治療と推定されています。
(平成28年国民栄養・健康調査)
そのため、内科での糖尿病治療をしっかりと受けてもらったうえで歯周治療を行うことで、
歯周組織のダメージが軽減された状態になり、歯周治療の効果が出やすくなります。
すでに糖尿病治療を受けている場合でも、
患者自身と糖尿病の状態について確認し、
歯科治療をスムーズに進めるためにも血糖管理がとても大切であることを説明します。
また、内科医への対診として管理状況(血糖値の推移や服薬)を確認しておきます。
歯科医院側としても重要な情報なのです。
2) 血糖管理で歯周炎は改善する
これまで歯周治療による血糖値の改善はエビデンスが確立しています。
また。最近の研究により歯周病パラメーターの改善はプラークコントロールには依存せず、
血糖値の改善が貢献していることが明らかになりました。
この知見は、高血糖は歯周組織における炎症を誘発しており、糖尿病治療によって除去されうるという機序を支持しています。
3) 糖尿病の影響をできるだけ抑制した歯周組織
血糖値の改善,腹部の脂肪量,血中の中性脂肪の減少があったことで全身的な酸化ストレスは低下し、歯周組織の血管ダメージが減少します。高血糖によって上乗せされていた歯周組織のダメージが取り除かれ、歯周炎の本態に立ち向かえる状況に整えることが、歯周治療の前準備として効果的です。
糖尿病患者の歯科治療でもっとも重要な、
“ブラッシング”
高血糖でダメージを受けた歯周組織は、
軽度のプラーク蓄積でも炎症が増悪しやすくなっています。
そのため、糖尿病患者において患者自身によるプラークコントロールは通常の患者よりも重要性が高いはずです。
ブラッシングは、歯周基本治療の根幹として歯周治療の効果を適切に高めることは明白であり、しっかり行うべきです。
そして、糖尿病患者への歯周治療においては、ブラッシングは単に”口腔内の衛生管理”だけにはとどまらない意義があると考えられます。
糖尿病患者における口腔清掃習慣の臨床意義の第一は、もっとも低侵襲に細菌感染のリスクを下げることができる点です。
易感染状態である糖尿病患者において、
口腔清掃指導は歯周治療に限らず、
まず取り組むべき最重要の歯科治療です。
ブラッシングの血糖管理への有効性
最近の臨床研究では、糖尿病患者に対して歯肉縁上のプラークコントロールを徹底して指導することでHbA1cが低下傾向を示すことが報告されています。
海外での2型糖尿病に罹患した歯周炎患者を対象とした臨床研究では、
口腔清掃指導の血糖値の改善効果あり、
炎症軽減による血糖管理改善の可能性が示唆されています。
ブラッシング習慣がもたらす
”もうひとつのメリット”
糖尿病患者においてブラッシングのモチベーションを高める第二の意義として、
口腔清掃を意識的に行う患者のほうが、
健康へのリテラシーが高くなる点が挙げられます。
継続的な歯科医院への通院を行うことが、
糖尿病の治療を行う上で非常に重要です。
何かお困り事がございましたら、
本町医院 竹村歯科へご相談ください。
【監修】院長 元島慧
院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医