舌について
- 2024年7月15日
- 摂食嚥下
こんにちは♪本町医院 竹村歯科です!
今日は舌についてです★
舌は、動物の口の中にある筋肉で出来ている器官です。筋肉を様々に動かすことで、形や位置を自在に変えることができ、食物を飲み込む際、言葉を喋る際などに使われるます。従って、消化器、運動器の働きをもつと言えます。また、哺乳類の舌には、味覚を感じるセンサーである味蕾があり、感覚器でもあります。味蕾の数は乳幼児で約1万個、成人になるにつれて約7500個まで減少すると言われています。
舌の表面は「舌乳頭」という突起に覆われていて、糸状乳頭、茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭の4つの種類があります。また、舌の後方には舌扁桃が見られることがあります。
・糸状乳頭
細くて角質化した先端を持つ舌乳頭で、肉眼で舌を見たときに白いポツポツとして見える突起です。舌上面の全体にわたって存在します。
糸状乳頭には味蕾は存在せず、基本的な味の感知には関係しません。糸状乳頭は、舌の「ざらざら」の正体で、食べ物を舐めたとき、ヤスリのようにこそぎ取る役割を担っています。
・茸状乳頭
糸状乳頭に似ていますが、角質化しておらず、肉眼では血管が透けて、先端が赤く見えます。糸状乳頭と同様に
舌上面の全体にわたって存在しますが、特に舌先側の表面に集中しています。
茸状乳頭の先端には通常、1〜数個の味蕾が存在しますが、これが失われた、味蕾を持たないものもしばしば
見られます。
・葉状乳頭
ひだ状の形態を持つ舌乳頭で、舌のふちの部分(舌縁)のうち、付け根に近い部分にだけ存在します。葉状乳頭も突起の側面に味蕾を持ちますが、その数は有郭乳頭より遥かに少なく、一個の突起あたり十数個です。
葉状乳頭のひだの底にもエブネル腺が存在し、そこからの分泌液で洗い流されています。
・有郭乳頭
周囲が凹んだ溝に囲まれ、ちょうどお堀に囲まれた城郭のような形の円台状の舌乳頭で、舌の付け根(舌根)付近だけに、1〜10個程度存在します。有郭乳頭の突起の側面には、一個の突起あたり数百から千個という、多数の味蕾が存在しており、溝の部分に溜まった液(唾液などの分泌液や食餌由来の液体)に溶け込んだ味覚物質を感知します。溝にはエブネル腺という分泌腺が存在しており、そこからの分泌液によって溝の中身は洗い流され、味覚物質がいつまでも留まりつづけることがないようになっています。
続いて舌の役割です。
舌の役割は4つあります。
①味覚機能
これは、食べ物の味を感じることです。
人が感じる味覚は、舌に存在する味蕾という、味細胞が集まった器官で味を感じ取り、神経細胞を介して脳に伝達されています。そして脳が「甘い」「苦い」などと味を判断しているのです。
味蕾は舌の上だけではなく、軟口蓋や咽頭部、食道にも広く分布しているため、飲み込むときにも味を感じているのです。
味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味に区分され、甘味は舌先で、塩味は舌先の外側で、酸味は舌の奥のほうの外側で感じやすいとされています。苦味は、舌根との境目あたり、さらには舌根の部分で感じ取られます。
しかし、近年では、舌の部位による感受性に違いは少ないとも考えられているようです。
②咀嚼、嚥下
咀嚼とは、食べ物を「噛む」動作のことです。食べ物を口に入れると、まず前歯で噛み切り、舌で受け取ります。その後、すぐに食べ物を奥歯の上に運びます。奥歯で嚙み始めると、食べ物が落ちていかないように舌全体で支えます。
嚥下とは、食べ物を取り込み、「飲み込む」動作のことです。咀嚼され、食べ物が飲み込める形になると、舌先が上顎の天井に接するようにして喉に送り込みます。こうして食べ物を食べることができます。
また、奥歯で効率的に噛むために、歯と歯の間に食べ物を運んで、何度も噛むことにより、唾液が分泌されます。このように食べ物と唾液を混ぜ合わせたりするのも、舌の役割の1つです。
③構音機能
これは簡単に言うと、発音すること(話すこと)です。
言葉を話すためには、まず、脳から指令を送ります。音を作り出す器官はその指令を受けると、肺から息を出し、喉仏にある声帯を震わせて音を作ります。最後に舌の形を変えたり、口を動かしたりして、微調整することで、思い通りの声を作ります。この過程を「構音(発音)」と呼びます。
舌の動きがあるからこそ、話したり歌ったりする時に、異なった音を出し、発声することができるのです。
④歯並びの形成
意外かもしれませんが、歯並びを形成するうえでも、舌は必要不可欠になります。
歯並びには、歯列の内側にある舌による圧力と、歯列の外側にある頬や唇による圧力が関わっています。両者のバランスが安定した位置に歯が並びます。
つまり、舌が左右どちらかに偏っていたり、特定の歯を押すなどの癖(舌癖)があったりすると、歯並びが乱れてしまいます。
舌が歯に当たっていたり、どこにも当たっていなかったりするのは、正しい状態ではありません。また、舌の先端だけが上顎についているのも、正しくありません。
舌の正しい状態は、「上あごの裏のスポットに舌の先端がつき、舌全体が上顎についている」状態です。
正しい位置に舌があると、歯並びだけでなく、体にも良い影響があります。
これは、鼻呼吸をしやすくなりますので、呼吸と共に空気中に存在するウイルスや細菌を体内に取り込みにくくなり、感染予防に繋がります。
また、舌や舌周囲の筋肉が鍛えられることで、顔や首のリフトアップ効果も期待できます。
舌は全身の一部としては小さな器官ですが、こんなにも複雑で様々な機能を有しております。
舌のことでもそれ以外でもお口の中のご相談等あればお気軽にご相談下さい🎵
【監修】院長 元島慧
院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医