根面う蝕についてパート2
みなさんこんにちは♪
本町医院 竹村歯科です⭐︎
連休の方も仕事の方もいかがお過ごしでしょうか?
明日は天気も良くお出かけ日和みたいですね⭐︎
さて、前回根面う蝕の話をさせて頂きました。
根面う蝕について理解していただけたでしょうか??
今回は前回に引き続き根面う蝕についてパート2ということでお伝えさせていただこうかと思います。
前回はなぜ根面う蝕が出来るか、そしてその成り立ちについてお伝えしましたが
今回は根面う蝕に注意が必要な理由についてご説明させていただこうかと思います。
根面う蝕に注意が必要な理由のまず一つ目は、
セルフケアが難しいということです。
歯頚部と隣接面は、
もともと自浄性に乏しいうえに、
ブラッシングによるプラーク除去が難しい不潔域で、虫歯の好発部位です。
こういった場所では、
ブラッシングの不良により歯周病が進行して
歯肉が退縮すると、不潔域が増大します。
臼歯部では、隣接面中央が凹み、
断面がひょうたん形をしている歯根や
複根歯の根分岐部があり、プロフェッショナルケアですら困難な場合があります。
また、義歯を装着している患者様のバネがかかる部分や入れ歯との間、上の歯の1番後ろの歯の後ろの部分、下の1番後ろの歯の頬側の部分も掃除(プラークコントロールと言います)が困難な部位です。
さらに、根面う蝕が進行して齲窩ができると、プラークリテンションファクター(歯垢が溜まりやすい要因)となります。
このような部位では、通常の歯ブラシだけではプラーク除去効果は低く、フロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシ、口腔洗浄器などの補助清掃用具が必須です。
高齢の患者様の場合、加齢による筋力の衰えなどで手指が動きにくくなり、通常のブラッシングでさえ上手にできなくなります。
こういった患者様に唾液分泌量の減少もともなうと、根面う蝕のリスクがさらに高まり、
悪循環に陥るので、ブラッシングに高いスキルを必要としない電動歯ブラシやフッ化物洗口剤の使用をオススメします。
根面う蝕に注意が必要な理由の二つ目としては
自覚症状がほとんどないということです。
とくに高齢の患者様では、
歯髄の感覚が鈍くなってしまうので、
根面う蝕が発症しても痛みなどの自覚症状がありません。
患者様自身も根面う蝕に気づかないので、
早期発見が難しいのです。
一般的に、歯の根っこが露出すると温熱刺激などが歯髄へと伝わり、生体の防御反応として
歯髄側に新たに修復象牙質というものが添加されます。
歯根部象牙質の厚みは歯冠部より薄いので、
刺激が歯髄に伝わりやすく修復象牙質が形成されやすいと思われます。
また、う蝕による象牙質の脱灰は象牙細管(歯髄へと続いている細い管)内への細菌侵入よりつねに先行します。
そのため、やはり防衛反応として、
pHの低下が回復すると脱灰溶出したカルシウムイオンとリン酸イオンを利用した結晶構造物が象細管内に集まり、象牙細管は狭窄または閉塞されます。
さらに、修復象牙質の添加による歯髄腔の容積の減少または根尖孔の狭窄による血行障害も起き、徐々に歯髄の退行性変性が進んでいきます。
とくに、高齢の方では加齢によって歯髄組織内に細胞の減少などの変化が現れ、それと同時に結合組織が増加して線維性の萎縮も始まります。
これが、歯髄の感覚が鈍くなる原因です。
少し難しい話ですが以上の事から自覚症状がほとんどないのです。
根面う蝕に注意が必要な理由の三つ目としては
象牙質が酸に弱いという事です。
象牙質のハイドロキシアパタイトの結晶は
エナメル質に比べると小さいので、
単位体積当たりの表面積が大きくなり、酸に溶けやすくなっています。
さらに、象牙細管やコラーゲン繊維が酸の通路経路となり、脱灰されやすい構造をしています。
象牙質のハイドロキシアパタイト結品はエナメル質の10分の1と小さく、単位体積当たりの表面積の割合が大きくなるため、溶解性が高くなります。また、象牙細管(細管の径は象牙質のアパタイトの100倍)
とコラーゲン線維が酸の浸透経路となります。象牙質の臨界PHが高いことと、コラーゲン線維が結晶の成長を阻害するため、エナメル質で起こるような質の良い再石灰化を期待できないのです。
口腔内が中性に戻ると、
唾液からカルシウムイオンやリン酸イオン、
歯磨剤からはフッ化物イオンが供給され、
象牙質でも表層は再石灰化されます。
しかし、脱灰層に多量の有機質が存在するので、再石灰化が継続してもエナメル質のようには十分に修復されません。
これらの理由から根面う蝕には特に注意が必要です。
今回はかなり専門的な内容も多かったですが少しでも理解いただければと思います⭐︎
他の機会に根面う蝕パート3で臨床的なお話をさせていただこうと思います🎵
当院では患者様にご納得、満足いただけるように日々精進しております。
お口の悩み、お困り事などございましたら遠慮なくお気軽にお問い合わせ下さい!
院長経歴
2012年 歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医