補綴物って何?
- 2025年4月21日
- 虫歯治療,審美治療,かみ合わせ、咬合治療
〜歯を失った方、歯の形や機能を回復したい方へ〜
こんにちは♪
本町医院 竹村歯科です★
みなさんは歯科医院で「補綴物(ほてつぶつ)」という言葉を耳にしたことはありますか?少し難しい漢字に見えるかもしれませんが、「補綴」とは簡単に言うと「失った歯やその機能を補うこと」です。虫歯や歯周病、事故などで歯を失ったり、削る必要が出た場合に、その部分に人工の歯を作り、噛む力や見た目を元に近づける治療を行います。
補綴物にはいくつかの種類があり、代表的なものに次のようなものがあります。
• クラウン(被せ物)
• インレー・アンレー(部分的な詰め物)
• ブリッジ(両隣の歯を支えにした連結の被せ物)
• 義歯(入れ歯)
• インプラント
今回は、特に「クラウン」「インレー」などの固定式の補綴物を中心に、その作成手順や治療工程、注意点を分かりやすくご説明いたします。
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【補綴物ができるまでの基本的な流れ】
1. 診査・診断と治療計画の立案
まず最初に行うのは、患者様の口腔内の状態をしっかりと調べる「診査・診断」です。虫歯や歯周病の有無、かみ合わせ、周囲の歯とのバランスなどを確認し、補綴物が必要な理由を明確にします。
そのうえで、どのような補綴物を作るのが適切かを判断し、**材質(セラミック、金属、ジルコニアなど)**や治療方法を患者様と相談して決めていきます。
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2. 歯の形成(けいせい)
補綴物を被せるには、歯にしっかりフィットさせるために、土台となる歯の形を整える必要があります。これを「形成」と言い、虫歯などで削った歯の表面をきれいに整えます。
形成時には以下の点を考慮します:
• 適切な厚みを持った補綴物が装着できるように、必要最低限の歯を削る
• 歯ぐきとの境目がスムーズで、清掃しやすい形にする
• 他の歯との噛み合わせに合うように調整する
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3. 印象採得(型取り)
形成が終わったら、補綴物を作るための「型取り」を行います。これを**印象採得(いんしょうさいとく)**と呼びます。
シリコン印象材などを使って歯の形を精密に写し取ります。
また、上下のかみ合わせや噛んだときの高さなども記録し、補綴物がぴったりと装着できるように準備します。
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4. 仮歯の装着(必要に応じて)
型取りを終えてから補綴物が完成するまでの間、見た目やかみ合わせを保つために「仮歯(テンポラリークラウン)」を装着することがあります。
仮歯には以下の役割があります:
• 歯の位置がずれるのを防ぐ
• 歯ぐきの形を整える
• 審美性(見た目)を保つ
• 感染や痛みの防止
仮歯の期間中も硬い物を避けて、丁寧なケアが必要です。
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5. 技工所での補綴物の製作
歯科医院で採取した型やデータは、歯科技工士さんの元へ送られます。技工士はそのデータをもとに、患者様一人ひとりに合った補綴物を製作します。
素材によって加工方法は異なりますが、以下の工程が一般的です:
• 石膏模型の作成
• ワックスでの形態設計(ワックスアップ)
• 金属やセラミックでの形成
• 焼成(セラミックの場合)
• 研磨と仕上げ
この工程は非常に繊細で、経験と技術が求められます。見た目だけでなく、かみ合わせや耐久性にもこだわった補綴物が作られます。
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6. 補綴物の装着・調整
完成した補綴物を患者様のお口に装着し、適合状態を確認します。かみ合わせや隣の歯との接触、歯ぐきとの境目に問題がないか、細かくチェックします。
必要に応じて調整を行い、問題がなければ専用の接着剤(レジンセメントなど)で**本装着(ほんそうちゃく)**します。
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7. メインテナンスと定期検診
補綴物は一度装着すれば終わりではありません。長く快適に使い続けるためには、定期的なメインテナンスと検診が不可欠です。
補綴物の周囲は歯垢(プラーク)がたまりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。ご自身での歯みがきに加えて、歯科医院でのクリーニングやチェックを受けることで、健康なお口の状態を保つことができます。
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【補綴治療の際の注意点】
補綴物を入れるにあたって、患者様に知っておいていただきたい注意点をいくつかご紹介します。
1. 治療期間がかかる場合がある
補綴物はオーダーメイドで製作されるため、数回の通院が必要になります。仮歯の期間も含めて、計画的に通院スケジュールを立てることが大切です。
2. 素材によって費用が異なる
保険適用の材料もありますが、より自然な見た目や強度を求める場合は自費治療となることもあります。カウンセリング時にしっかり相談しましょう。
3. 装着後の違和感は一時的なことが多い
新しい補綴物は最初、少し違和感を覚えることがあります。数日で慣れる方が多いですが、痛みや外れなどがあればすぐにご連絡ください。
4. メインテナンスの継続が重要
補綴物自体は虫歯になりませんが、その周囲の歯や歯ぐきが炎症を起こす可能性があります。日々のケアと歯科医院での定期的なクリーニングが大切です。
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【まとめ】
補綴物の作成には、患者様ごとに異なる条件やご希望に合わせて、歯科医師と歯科技工士が連携しながら、慎重に計画・製作を進めていきます。
お口の中の状態をしっかり整え、見た目も機能も満足のいく結果を得るためには、患者様ご自身のご理解とご協力も欠かせません。
不明な点や不安なことがあれば、どんなことでも当院にご相談ください。私たちは、患者様が安心して笑顔で過ごせるよう、丁寧な治療とサポートを心がけています。
【監修】院長 元島慧
○院長経歴
2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
○参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年 日本顎咬合学会認定医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医