MTAセメントについて|本町医院 竹村歯科|大阪本町の歯科クリニック

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本町医院 竹村歯科の医療コラム

MTAセメントについて|本町医院 竹村歯科|大阪本町の歯科クリニック

MTAセメントについて

こんにちは♪ 🙂

本町医院 竹村歯科です。

先日、学会にてMTAセメントについての発表をさせていただきました。

今回はそのMTAセメントについて説明します。

歯の治療において、歯の内部にある神経(歯髄)や歯根(根管)を適切に保護し、修復することは非常に重要です。

そのために用いられる材料の一つに「MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメント」

があります。

MTAセメントは、近年の歯科治療において大きな進歩をもたらした材料であり、

特に根管治療や歯髄保存療法において高く評価されています。

今回は、MTAセメントの特徴やメリットを詳しく解説し、なぜ患者様にとって有益な治療材料であるのかをお伝えします。

MTAセメントとは?

MTAセメントは1990年代に開発された歯科用のバイオセラミック材料の一種で、主に「ケイ酸三カルシウム(トリカルシウムシリケート)」を主成分としています。

これにより、水分と反応して硬化し、

優れた封鎖性と生体親和性を発揮します。

MTAセメントの特徴として、

以下のような点が挙げられます。
1. 優れた封鎖性
2. 高い生体親和性
3. 抗菌作用
4. 歯髄(神経)の保存が可能
5. 組織再生を促進する作用
6. 湿潤環境下でも使用可能

これらの特性により、

MTAセメントは従来の材料と比較して、

より確実で予後の良い治療を提供することができます。

MTAセメントのメリット

1. 優れた封鎖性と微小漏洩の防止

MTAセメントは、歯の内部(根管や歯髄)にしっかりと適合し、微小な隙間を作りにくい性質を持っています。これにより、根管治療後の再感染リスクを大幅に低減することができます。従来の材料では、経年劣化により隙間ができ、細菌の侵入を許してしまうことがありましたが、MTAはそのリスクが非常に低いとされています。

2. 高い生体親和性で安全な治療が可能

MTAセメントは、生体親和性が高いため、人体に対して刺激が少なく、安全な治療を提供できます。特に、歯の根の先端や歯髄(神経)に近い部分に使用しても炎症を引き起こしにくいという特長があります。

3. 抗菌作用による感染防止

MTAセメントには、抗菌作用があるとされています。これにより、細菌の繁殖を抑え、治療後の予後を良好に保つことができます。根管治療では、細菌の除去が最も重要ですが、MTAを使用することで治療効果をより高めることが可能です。

4. 歯髄保存療法に最適

従来、むし歯が神経まで進行した場合、多くのケースで抜髄(神経を取る処置)が必要でした。しかし、MTAセメントを使用することで、神経を残せる可能性が高まります。例えば、「直接覆髄法」や「間接覆髄法」といった方法では、MTAを使用することで歯髄の炎症を抑えながら保護し、神経を生かすことが可能になります。

5. 組織再生を促進する効果

MTAセメントは、歯の内部の組織再生を促す作用があるとされています。特に根の先端の「根尖孔」や、歯の破折部分、穿孔(穴が開いてしまった部分)を修復する際に、周囲の組織と良好に結合し、再生を促す効果が期待されます。

6. 湿潤環境下でも使用可能

従来の歯科用セメントは、水分によって性質が変化し、適切に硬化しないことがありました。しかし、MTAセメントは湿潤環境でも適切に硬化するため、歯の根の治療や神経に近い部位でも効果的に使用することができます。これにより、治療の精度が向上し、成功率も高くなります。

MTAセメントを使用する治療の具体例

MTAセメントは、さまざまな歯科治療において活用されています。代表的な治療法として以下が挙げられます。

1. 根管治療(根管充填・根管穿孔修復)

MTAセメントは、根管治療において特に有用です。例えば、根管の治療後に根の先端を封鎖する「根尖閉鎖」や、誤って根管壁に穴が開いてしまった場合の修復(穿孔修復)に使用されます。これにより、治療の成功率が高まり、歯の寿命を延ばすことができます。

2. 歯髄保存療法(直接覆髄・間接覆髄)

むし歯が神経に達しそうな場合や、すでに露出してしまった場合でも、MTAセメントを使用することで神経を残すことが可能になるケースがあります。

3. アペキシフィケーション(未完成歯根の治療)

成長途中の永久歯(特に子供の歯)では、根の先端がまだ完全に形成されていないことがあります。その場合、MTAセメントを用いることで、根の発育を促しながら適切な治療が可能になります。

4. 破折歯の修復

外傷などによって歯が破折した場合、MTAを用いることで歯を残せる可能性が高くなります。特に、歯根の近くで破折した場合でも、MTAの封鎖性や生体親和性を活かして修復が可能です。

MTAセメントのデメリット

MTAセメントは非常に優れた材料ですが、いくつかのデメリットもあります。
1. 硬化に時間がかかる(通常、完全に硬化するまで数時間〜24時間必要)
2. 費用が高い(保険適用外の治療もあり、自費診療になるケースもある)
3. 操作性がやや難しい(練和や充填に技術を要する)

これらの点を考慮しながら、最適な治療法を選択することが大切です。

まとめ

MTAセメントは、優れた封鎖性・生体親和性・抗菌性を兼ね備えた非常に有用な材料です。特に根管治療や歯髄保存療法において、従来の材料では難しかった治療が可能になり、多くの歯を救うことができるようになりました。

患者様にとって、「できるだけ歯を長く残す」ということは大きなメリットです。MTAセメントを使用することで、その可能性を大きく高めることができるため、ぜひ前向きに検討していただければと思います。

お悩みの方はお気軽ご相談ください☆

【監修】院長 元島慧 

○院長経歴

2012年 朝日大学歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任

○参加セミナー
2016年  大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年  明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了 
2017年  i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年  大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年  山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年  山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年  大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年  牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年  ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年  ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年  第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年  大森塾7期 (総合治療)修了
2019年  大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年  山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年  CREDセミナー (保存治療)修了
2022年  臨床歯科麻酔管理指導医取得
2022年  日本顎咬合学会認定医取得

所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医