歯周病の罹患率について
- 2024年5月13日
- 歯周病治療
歯周病の罹患率
こんにちは♪
本町医院 竹村歯科です⭐︎
さて、みなさんは歯周病に罹患した方が
どれくらいいると思いますか??
「日本の成人の8割以上が歯周病だ」
という言葉を聞いたことはありませんか?
果たして本当に、そんなに多くの人が歯周病だといえるのでしょうか?
歯周病を判定するための指標には
さまざまなものがありますが、
まずは
CPI(community periodontal index、
地域歯周疾患指数:1982年にWHOが
提唱した歯周疾患の診査方法)を使って、
日本人の標準的な人口構成を対象に
測定したデータ(平成23年度歯科疾患実態調査)を見てみましょう。
ちなみに
CPIでは
CPIO:健全
CPI1:歯肉出血
CPI2:歯石沈着
CPI3:浅い歯周ポケット(4~5mm)
CPI4:深い歯周ポケット(6mm以上)
と評価します。
CPIを用いた場合の「歯周病あり」の判定は、
「4mm以上の歯周ポケットを有する人
(=4~5mmの歯周ポケットあり〔CPIコード3〕に、6mm以上の歯周ポケットあり〔CPIコード4)
を加えたもの)」と考えることができます。
この割合は年齢が上がるにつれて高くなる傾向にあり、
慢性歯周炎のリスクの高くなる35~44歳では27%、
その上の45~54歳ではグッと増加して43%となります。
このうち、CPIコード4、すなわち CPI計測の対象歯のどこかに6mm以上の歯周ポケットがあったものを重度歯周病と考えるならば、
45~54歳では10%以下で、それ以上の年齢ではしだいに増加していくものの、年齢とともに歯の喪失の機会も増えるためにCPIは上がりにくくなり、いずれの年齢階層でも20%を超えることはありません。
CPI以外の指標を使った他の研究を総合的に判断しても、先進国における重度歯周病の割合は、おそらく10%を超えない程度と考えられています。
「国民の8割が歯周病」とのうたい文句は、
じつはCPIコード0の「健全」以外の人の割合を指しているのです。
診査した部位(歯)のすべてが「健全」とは判定されなかったとき、
たとえば測定した6歯のうち1ヵ所でも出血した場合(CPIコード1)や、
歯石がついている場合(CPIコード2)を「歯周病あり」に含めているので、8割もの人が歯周病だということになるのです。
ということから、「8割が歯周病」というのは、ウソではないものの、やや大げさな表現かもしれませんね。
さて、では日本人のCPIを他の国々と比較するとどうでしょう?
WHO(世界保健機構)ではCPIに関する情報を各国から収集し、個人最大コードの割合の平均値を地域別に発表しています。
世界の各地域における
「4mm以上の歯周ポケットを有する人」の割合は4~6割程度であり、
世男の一般的な状況に比べると、
日本の状況(27%)は比較的良好といえそうです。
それでは、歯周病の重症度は、
どうやって表すことができるでしょうか?
これが意外と難問なのです。
歯周病による歯周組織の変化には、
すでに喪失した歯周支持組織の量と、
現在の歯周組織の炎症という2つの面があります。
歯周支持組織の喪失程度は、
アタッチメントレベル (attachment level:AL)というもので評価されます。
ALは歯周病によって破壊された歯周組織の付着喪失の歴史を表し、
通常の歯周治療ではほとんどもとに戻りません。
もちろん、エックス線写真による歯槽骨の喪失量の評価も重要な指標です。
また、歯周病による喪失歯数も、歯周疾患によるこれまでの侵襲の大きさを反映しています。
一方、現在ある歯周組織の炎症は、
プロービング時の出血(bleeding onprobing: BoP)や
歯肉炎指数(gingival index:GI)といった肉眼的な歯肉炎の徴候を示す指標で評価されます。
プロービングポケットデプス (probingpocket depth: PPD)も、
炎症の除去によって減少する指標であることから、
歯周組織の炎症程度の評価指標と考えることができます。
さて、これらの指標で歯周病の重症度がわかるかというと、そうでもありません。
困ったことに口腔内のすべての歯で均一に歯周病が進行していることはまれで、
通常は、20を超える臓器(歯)の各所でバラバラに進行します。
かといって平均値をとって評価すると、
たとえば重度歯周病のために歯を失うと、
かえって指標が改善するといった矛盾が起きてしまいます。
まとめると
日本の歯科疾患実態調査では、
CPIが2以上の「歯周病あり」と
判定される人の割合は、
40歳で25%程度、
60歳でも50%程度です。
6mm以上の歯周ポケットのある人は、
40歳で5%程度、60歳でも15%程度です。
歯周病の重症度をどう表現するかは難しく、
すでに破壊された歯周組織の量、
現在の炎症の程度に加えて、
年齢を考慮して判定する必要があります。
当院では精密検査を通して患者様のリスクや現状をしっかりと把握したうえで、ご説明させていただき、納得していただいたうえで治療をする事を心がけています。
ご自身が歯周病かもと思った方はお気軽にご相談下さい🎵
院長経歴
院長経歴
2012年 歯学部卒業
2016年 大阪市内にて勤務
2020年 本町医院 竹村歯科院長就任
参加セミナー
2016年 大阪SJCDエンドコース (根管治療)修了
2017年 明海・朝日臨床審美コース (審美治療)修了
2017年 i6 Implant Education 第一期 (インプラント)修了
2017年 大阪SJCDベーシックコース (総合治療)修了
2017年 山田國晶先生エンドベーシックコース (根管治療)修了
2017年 山田國晶先生主催CERIclub(総合治療)参加
2018年 大阪SJCDマイクロエンドコース (根管治療)修了
2018年 牛窪先生Bio Raceを極める!ベーシックコース(根管治療)修了
2018年 ADPR定位置埋入コース (インプラント)修了
2018年 ストローマンベーシックインプラントロジー1Dayコース (インプラント)修了
2018年 第6期GPOレギュラーコース (矯正治療)修了
2018年 大森塾7期 (総合治療)修了
2019年 大阪SJCDレギュラーコース (総合治療)修了
2019年 山田國晶先生エンドレベルアップコース (根管治療)修了
2021年 CREDセミナー (保存治療)修了
2022年 臨床歯科麻酔管理指導医取得
所属学会
日本臨床歯科学会
日本顎咬合学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会
臨床歯科麻酔管理指導医